2008年第10回学術大会

大会長あいさつ

櫻井 京(西島病院リハビリテーション室勤務)

 日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)は、今年で発足9年目、記念すべき10回目の年次学術大会を迎えます。JSCCは定期的な学術大会開催および学会誌の発行により、多くの志のある臨床家に研究発表の場を提供し、また会員の勉強の機会を提供してきました。当然のことのようでいて、JSCC発足以前は、特にカイロプラクティックにおいては所属団体を問わず自由な研究発表ができる学会的な活動は広がりを見せていませんでした。JSCCはカイロプラクティックだけでなく、すべての徒手医学研究のための学会ですが、特にカイロプラクティックにとっては貴重な存在であると思います。世界に目を向ければ、カイロプラクティックは代替医療の中でいち早く基礎研究やエビデンス・ベイスト・メディスン(EBM)を重視してきたことで今の地位を得ているともいえるでしょう。私たちもJSCCを通してささやかでもエビデンスの構築に貢献できることは大きな喜びだと感じております。
 学会のテーマは「ケアの本質―徒手医学からのアプローチ」とさせていただきました。徒手医学にかかわる者は、科学的妥当性の重要性を理解しながらも、患者/クライアントを一人の人間として全人的に扱いたいと思っているでしょう。また、バイオメカニカルな問題を扱いながらその背後に感情的な問題が潜んでいることを、話を聞くことで、または手を通して感じることもあるでしょう。徒手療法を提供しながら、話を聞くなどのコミュニケーションによりよくなっていくことや、提供した徒手療法がバイオメカニカルな作用を超えて心理面に影響を与えることもあるでしょう。徒手療法の治療者が提供できるケアにはどのような要素があるのか、どの範囲まで広げて行くのがよいのかを考える素材を提供し、今後の臨床に生かしていただけるのではないかと期待しています。
 基調講演には、ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)を先駆的に臨床に取り入れられ、現在は医学教育でNBMを教えていらっしゃる斎藤清二先生をお招きしています。臨床にEBMとNBMをバランスよく取り入れられれば、より質の高いケアを提供することができるようになるでしょう。
 会場の日本赤十字社本社は、遠方からのアクセスもよいところです。舞台がない会場ですので、講演者と会場の参加者との敷居が低く、より活発な質疑ができるのではないかと思います。今回は5年ぶりにパネルディスカッションを行う予定です。パネラーの先生方にご自身の臨床経験に基づいたケアの考え方、実践方法を語っていただき、参加者のみなさまと意見交換を図りたいと思っています。今年は、日曜日と体育の日で祝日の月曜日という日程です。土曜日が休みにくい臨床家の方々にもお越しになりやすい日程になったのではないかと期待しております。多くの先生方、学生の方々の参加をお待ちしております。