日本カイロプラクティック徒手医学会 JSCC

役員挨拶

会長挨拶

日本カイロプラクティック徒手医学会 会長

 当、日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)の目的は、日本国内におけるカイロプラクティックの研究データの蓄積により、その施術の安全性、施術効果の検証などを検討することでカイロプラクターの質の向上及び国民の健康維持に貢献することです。

 アメリカをはじめとする欧米諸国やニュージーランドなどアジア太平洋地域では大学レベルで数多くのカイロプラクティックに関する科学的研究が行われており、カイロプラクティック医療としての地位が確立されています。しかし、日本では1990年代以降、その科学的研究データ不足が問われ、地位の確立に至っていません。

 現在、アメリカなど諸外国では「Evidence Based Practice(科学的根拠に基づく施術)」が推奨されており、各施術テクニックの科学的研究が盛んに行われています。

 本学会は発足20年目を迎え、2016年には一般社団法人に移行し活動を活発化しており、現在、本学会会員には、柔道整復師、鍼灸師、理学療法士などカイロプラクティック以外の徒手医療に携わる先生方も多数いらっしゃることから、各徒手医学の研究発表などを含め、会員のさらなる知識の向上を目指したいと考えておりますので、会員各位のご協力を心からお願い申し上げます。

一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会
会長 小倉 毅

副会長挨拶

日本カイロプラクティック徒手医学会 副会長 事務局長 木村 功

 1999年に発足した日本カイロプラクティック徒手医学会も2018年より新たな会長を迎え、今までの方針からより飛躍した活動を目指していこうとしております。

 新たな役員も迎え、より臨床に有益な学会活動を目指していきたいと考えております。

 学会活動とは、カイロプラクティック発展のためのものです。技術の向上や安全性などを広く業界で一般化するためには学術活動による各人の研鑽と共有が最も早道であり、業界を挙げて科学的な根拠に基づく自主的な取り組みを行うことで、社会的な信頼も得られます。学会活動というと敷き居の高いもののように思われがちですが、実は我々の身近な現象に対する考察の積み重ねだと言えます。それにより、より安全なカイロプラクティックを構築していくことが学会の使命であると考えます。

 言い換えれば、カイロプラクティックの立場から臨床現象をわかりやすく説明していくことが必要な訳で、単に現代科学的な視点でカイロプラクティックを説明するのではなく、カイロプラクティックが現代科学では説明しきれないということを説明することも大事だと思います。

 日本国内での学術活動と全国の臨床家の学会参加は、国内においては技術の裏付けとなる研究活動の継続により信頼性・安全性の向上に結びつき、世界的に見れば日本にはカイロプラクティックの公的資格やそれに則した国家公認の教育機関はなくても、日本のカイロプラクティックの臨床家は日々カイロプラクティックの学問的な研鑽をたゆまず行なっていると言う点で誇れるものになると思います。この積み重ねがいずれは世界的にも通用する日本独自のカイロプラクティックの体系化につながると考えております。自分たちの施術の根幹を他者の研究に任せるだけでなく、自分たちで作り上げて行くという取り組みをし続けると言うことが、今後のカイロプラクティック発展になくてはならないものと思います。

 例えば、多くの先生方が日々の臨床で非常に有効であった手技だけでなく、ヒヤリとしたような症例や現代医学では説明できないようなカイロプラクティックの独自な観点からの観察方法の提示など多くの知見を学術大会で発表し、論文化して残すと言う作業は非常に地道で日々の臨床自体にプラスにならないように思えますが、例えばその知見を先に理学療法士が理学療法の学会に発表し論文化してしまうと、おそらく理学療法として認知されることになるでしょう。

 そもそも科学的に証明されれば、定説となって不変なものになるというのは幻想で、明日間違いを指摘されひっくり返されるかもしれないのが科学的証明です。科学的というと対象を細分化して還元的に考えるように捉えがちですが、システムという概念にたてばシステム全体として捉えないとシステム自体の働きはわかりませんから、全体を見なければ本質がわからないというものも科学の対象であるわけです。カイロプラクティックの人体概念は現代医学のそれとは根本的に異なります。それがゆえにカイロプラクティックの存在意義があるわけですから、単純に現代医学寄りの説明を行うのではなく、カイロプラクティック独自の論理展開がこれからは重要になって行くと思います。「サブラクセーションをアジャストメントし、イネイトインテリジェンスの働きに委ねる。」というカイロプラクティックの本来的な概念を捨て去るべきではないということです。

 現代医学にはない、あるいは証明できない概念であっても、それを端的に現代医学の用語に置き換えるのではなく、カイロプラクティックからの説明とそれを現代医学的に見たときの説明の両方をしていくことが肝要ではないかと思われます。そうすることでカイロプラクティックはカイロプラクティックとしてこれからも存続できるのではないかと考えます。

 カイロプラクティックのアプローチには、現代医学にはない特異な発想と手技があるわけですから、それらを会員の皆様と掘り起こしてきちんと社会に認知される形で提示して行くことが学会の責務であると思います。

 それだけでなく、年に一度の学術大会では日本各地の先生方と一堂に会して語り合うことは大きなインスパイアになりますし、出来得れば業界のすべての皆様とこのような学会活動を通じて一緒に前に進んでいければ、カイロ業界もさらなる発展を遂げることができると確信しております。

 日本のカイロプラクティックの明るい未来を築くためにも、一人でも多くのカイロプラクティック臨床家の先生が学会活動に参加して頂けますことを切に望みます。

 慣れない事務局業務のため、会員の皆様には色々とご迷惑をおかけしていると存じますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会
副会長 事務局長 木村 功